ANSWER
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Q 政府や公的セクターによるSOHO支援の状況と将来ビジョンはどうでしょう?
A 河西
●SOHOにとって深刻な不況打開策として、政府内部では、実態を持ったSOHO支援のため の法整備研究が遅蒔きながら開始されるなど、98年春以降、積極支援に転じている。
また、99年度政府予算申請に通産省が「来年度10万社の草の根ベンチャー(SOHO)創 出」のために5000億申請をし、労働省も「失業者、脱サラ支援としてが開業独立(SOHO)する場合、本人、被雇用者の人件費の一部を負担」するために1兆円弱を要 求したし、すでに一部で大規模支援が実施されていることは新聞でも報道されている。
郵政省や各自治体でも従来の路線変更とも言える「都市型テレワークセンター、SOHO 共同オフィス」、サイバー上での「SOHOプラットフォーム」開設に積極支援ができるよう標準化や予算規模を拡大しようとしている。
問題は、そうしたサポートが各省、中央、地方政府でバラバラに実施されているので 肝心のSOHOに伝わっていないことだ。ある調査によると国内の公的SOHOサポートプログラムは、 全部で3万種類を越えるという説も有るほど。
個人的には、政府内に「SOHO円卓会議」(SOHOビューロー)という議会、行政、民間 共同の責任窓口を作り、インターネットを活用した「SOHOサイバー政府」(SOHO専門検索エ ンジン)を大至急にでも開設するべきだと思う。
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Q 河西さんの定義するSOHOとは?「某オンラインマガジンの取材より」
(もう、何度もうかがっている内容と思いますが…)
A 河西
●SOHO(ソーホー)とは、文字どうりSmall Office / Home Office workers の略称。
大企業のテレワーカー、独立した小規模事業者及び個人事業者、在宅ワーカーを指す。
●業務でインターネットなどデジタル情報通信を積極的に活用する自由な事業、労働形態をさしても使用する。米国では4200万人規模。(テレコユーターのみの算出)その多くは、ソフトウェア開発、広告その他の企画・クリエイティブ業務に代表される専門的・技術的職業従事者たちで、国内情報・サービス系SOHOは600万人と推定。
●最近では、モバイルワーカー、サテライトワーカー、ホームワーカー、
マイクロビジネスマン(零細事業者)、テレワーカー全体を指す言葉としても使われている。
●規模だけで見るなら、10人以下のSOHO事業所数530万カ所。関係ワーカー1800万人
Q SOHOの現状をどうとらえますか?
A 河西
●SOHO全般で言えば、不況化の失業率アップ、大企業の徹底したアウトソーシング化でSOHO予備軍人口は増大している。しかし、新旧SOHOの競合で各分野の受注価格が低下し、勝ち組み(10%)、負け組み(90%)がハッキリしてきている深刻な状態。
勝ち組み(利益を出しているSOHO)が負け組みを雇用できれば、失業率も下がるだろうが、SOHOは規模が小さすぎるので、ベンチャー投資のように展望が見えるわけではない。
各分野の新商品開発、販売が極度に低迷しているので需要は、一部の分野を除き低下する傾向にある。成功したと思われたSOHOも新規参入者の競合で、かなり苦しい。
SOHOの多くは、手形をきらないので倒産は少ないが、自主廃業、転業はこの1年でかなり増加し、SOHOブームが、新旧SOHOの首をしめているかたちになった。
Q SOHOは(あるいはSOHOという言葉は)ずっと生き残るのでしょうか?
A 河西
●現在SOHOは、日本発の言葉になりつつある。
アメリカではもう余り使われていないらしいが、逆に韓国で98年5月にアジア最初のSOHOコンベンションが開催されたり、イギリス、北欧で現在ブームになっている。
言葉として生き残るかどうかは、分からないが、99年度版の「イミダス」「知恵蔵」「現代用語の基礎知識」の中では初めて大きくクローズアップされたように、むしろ徐々に一般に浸透しつつある。4月に刊行された初の「テレワーク白書」「通信白書」でも概念、用語として認知され、8月には、ギルドをはじめとした「SOHOセミナー実行委員会」が、初めて政府(郵政省)の後援団体として公認された。
概念が曖昧なのは、政府がスキームを策定しないから。
しかし、「中小企業」(300人以下)とか「個人零細事業者」(5人以下程度)「ベンチャー」(新技術開発で起業すること)という曖昧な言葉も日本語として定着して本来の意味とは拡大されて使用されてるわけだから、SOHOもニーズがあれば生き残るのでは?
SOHOにとって深刻な不況打開策として、政府内部では、実態を持ったSOHO支援のための法整備研究が遅蒔きながら開始されるなど、98年春以降、積極支援に転じている。
また、99年度政府予算申請に通産省が「来年度10万社の草の根ベンチャー(SOHO)創出」のために5000億申請をし、労働省も「失業者、脱サラ支援としてが開業独立(SOHO)する場合、本人、被雇用者の人件費の一部を負担」するために1兆円弱を要求した。
郵政省や各自治体でも従来の路線変更とも言える「都市型テレワークセンター、SOHO共同オフィス」に積極支援ができるよう予算規模を拡大しようとしている。
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Q よくある外国のメディア・研究者からの質問
●あなたは、日本のSOHO人口はどのくらいだと概算していますか?
Can you estimate how many people work in small offices, home offices in Japan?
・非デジタル系もいれ、規模だけでみると全産業で
20人以下~600万事業所・3000万人
10人以下~531万事業所・1700万人(総務庁、96年度)です。
・大組織系テレワーカーは81万人(郵政省、96年度)ですがSOHOは調査対象に入っていないと思います。
Q●この分野がどのくらいの早さで成長していくとみていますか?
Can you estimate how fast this sector is growing?
・大組織系テレワーカーは2001年には81万人から300万人に拡大すると言われています
(日本サテライト協会、98年テレワーク白書より)
・SOHO自体のボリュームはそんなに変わらないでしょうが、一般家庭にパソコン、モバイルが入りつつあるので、そのホームオフィス(HO)・デジタル化は信じられない速度で拡大するでしょう。
急速な「意識革命」が日本人とこの個人意識のあいまいな国を襲いつつあります。
Q●SOHOワーカー達には、どのようなキーテクノロジーが利用されていますか?
What are the key technolgies being used by SOHO workers?
・電話(留守番、転送機能)
・FAX(一斉同報、カタログBOX)
・モバイル(携帯、ノートブック、PDA)
・E-mail(メーリングリスト、メールマガジン)
・インターネット(ホームページ、LAN、オンラインショップ)
・電話秘書代行
・コピー&FAX&プリンター融合機
・オフィスデリバリサービス(アスクル社、コンビニエンスストア、生協など)
・バイク便、宅配便
・共同SOHOオフィス
Q ●SOHOワークに最もポピュラーな分野は?
コンサルタント?デザイン?セールス?
What are the most popular fields for SOHO work? Consulting? Design? Sales?
全ての情報・サービス関連分野でSOHOワークが可能でしょう。
以下、参考
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●出版社 ●広告制作 ●パソコン通信 ●インターネットサービス
●TV・ラジオ放送番組制作 ●アナウンサー・DJ ●編集制作
●アニメ・コミック漫画制作●企画家業 ●一般写真業 ●商業写真業
●写真現像・焼付業 ●デザイン業 ●著述家業 ●芸術家業
●司会・モデル ●スタイリスト ●レンタルスペース ●印刷・DTP
●ペット関連サービス ●エステ・美容 ●フィットネスクラブ
●劇場 ●興行場 ●劇団 ●楽団、舞踊団 ●その他の興行団
●スポーツ施設サービス業 ●ゴルフ場 ●ゴルフ練習場
●パチンコホール ●カラオケ、その他の遊戯場 ●ダンスホール・クラブ
●アミューズメント・娯楽サービス業 ●映画・ビデオ制作業
●映画・ビデオ配給業 ●映画・ビデオサービス業 ●受託開発ソフトウェア業
●パッケージソフトウェア業 ●情報処理サービス業 ●情報提供サービス業
●興信所 ●広告代理業●屋外広告業 ●ダーレクトマーケティング業
●法律事務所 ●特許事務所 ●司法書士事務所 ●公認会計士事務所
●税理士事務所 ●インテリア建築サービス業 ●学習塾
●個人教授所 ●機械設計業
●社会保険労務士事務所 ●経営コンサルタント業
●翻訳業 ●広告制作業 ●不動産鑑定業 ●行政書士事務所
●鑑定業 ●コピーライター業 ●通訳業 ●駐車場業 ●家事サービス業
●衣服裁縫修理業 ●リサイクル・雑貨販売サービス ●冠婚葬祭サービス業
●その他の生活関連サービス業 ●リゾートクラブ ●リース業
●ビルメンテナンス業 ●ディスプレイ業 ●実業団体
●文化団体 ●NPO・非営利的団体
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●Q 「在宅勤務(SOHO)は健康面について(SOHO研究学生)
私は社会学部の学生でゼミでは労働問題について学んでいます。
ゼミの共同論文で「在宅勤務(SOHO)は健康面でどのような変化をもたらすか」をテーマにしています。
●A(ギルド事務局)
ご質問の「在宅勤務(SOHO)」という概念は、SOHOの極一部のワーク形態なので(この場合、企業組織人のSOHO化という前提?)、自営系SOHOと分けて捉えたほうが良いと思います。
1.「在宅勤務(SOHO)」のケース
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[ポジティブ面]
・通勤時間からの解放による物理的、精神的余裕形成
・家族、ペット、仮想ネット・地域コミュニティとの共生的癒し環境形成
・組織による抑圧的ストレスからの解放(強制労働システム空間からの一時的離脱)
[ネガティブ面]
・成果主義シフトによる必要以上の肉体酷使の可能性
(SOHO化による仕事の24時間化、自宅のファーム化による家族との葛藤)
・デジタル技術偏重による物理的、精神的 職業病誘発の可能性
・対人コミュニケーション不足による神経症発生の可能性(組織・集団からの疎外)
2.「自営系SOHO」のケース
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健康面というのは広大なテーマをかかえるSOHOのなかでも見落としやすいテーマです。
はっきりいって厚生省をはじめ労働省も、SOHOの状況は認知調査してないのでデータはないですし、健康診断にいく習慣も公的制度サービスが弱いためないですよね。
実感で言えば「労働時間制限もなく、企業年金もなく死ぬまで働く」というイメージでしょう。
でも過酷なイメージばかりではありません。
「社会のSOHO化」は、いわば「社畜」から「デジタル遊牧民」への転換ですからね
家族や仲間と共に過ごす時間が多い「貧乏ひまあり」状態でしょうね。
SOHOとして「精神的に自立」出来れば、健康にはよいかも..?
自立できない人や仕事に疎外されると、SOHOは結構早く死にますが...
ぼく(河西)のいる業界では、50代以上の同業者はあまりみません。
急にいなくなります。SE業界もそうらしいですが、転業するか実際、死んでしまうことも多いようです。(^_^)
やりたい仕事ができなくなっても「普通に生きていく」意識革命と手段がSOHOの健康維持には必要なのだと思います。
意識革命を経たSOHOはしぶといですね。
今でも東京で8カ月働き、4カ月は南の島や大陸でのんきに遊ぶシーズン渡り鳥型SOHOが、ライターやカタカナ文字系などの専門系によくいます。
まあ、サラリーマンも裁量労働制導入、年棒シフトで大半はSOHO化していきますから同じですけどね(^_^)
近代がやっと終わり、「新しい中世」が始まろうとしています。